PEOPLE

本当の薬膳は“家庭料理” からだと心をつくるもの

奈良市法連町にあるCafe/Grocery&STUDIO「POWER OF FOOD」。

 

代表の吉田奈麻さんは、子育て主婦業のかたわら薬膳を学び始め、

2015年3月にこちらのお店をOPENしました。

 

 

 

“食べたものは、わたしたちを作ります。

からだだけでなく、心のありようまでも。

だから忙しい毎日でもちょっと立ち止まって、

自分のからだと心の声に耳を澄ませてみてください。”

We believe in POWER OF FOOD.

 

 

 

不調に悩む人を一人でも減らしたいと願うその背景、

なぜ薬膳を伝える活動をしているのか、

吉田さんの想いをお聞きしてきました。

 

 

三重県津市生まれ。奈良市在住。

短大卒業後、大阪で国家公務員として働き、結婚を機に奈良へ。

高校生の息子さんと、中学生の娘さんがいる二児の母。

 

国際中医薬膳管理師の資格を持ち、薬膳の魅力を発信するとともに、

セミナーや出張イベント、個人カウンセリングもおこなっている。

 

 

これからも続いていく毎日のために

 

(合田)

わたしもプライベートでお邪魔したことがあるのですが、

これが薬膳なの?と思う気軽なお料理やスイーツに驚きました…!

 

吉田さんが薬膳を学び、資格を取ろうと思ったきっかけを教えてください。

 

(吉田さん)

短大卒業後、国家公務員として働いていて、

結婚後は専業主婦をしていました。

 

子どもたちが大きくなったらまた働こうと思っていたのですが、

30代の時に主人を病気で亡くしたんですね。

 

入院した時は良くなるものだと思っていたんですけど、

一ヶ月もしない間に亡くなり、急に死というものが身近になったんです。

 

ガン等ではなく健康を害して亡くなったので、

わたしは何をしていたんだろう…という後悔と

申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 

でも当時小学生だった子どもたちがいたので

泣き崩れているわけにもいかないと思いましたし、

息子が主人と体質が似ているので、同じことにならないようにと

管理栄養士さんがされている料理教室などに通いはじめました。

 

 

(吉田さん)

元々お料理は好きだったのですが、

頭がより“健康”にシフトしていきましたね。

 

そしてたどり着いたのが薬膳でした。

マクロビやヴィーガン等色々な健康法を探っていったんですが、

薬膳がわたしには引っかかったんです。

 

(合田)

なぜ薬膳だと思われたんでしょうか?

 

(吉田さん)

一言でいうとストイックじゃないから、ですね。

これはダメ、あれはダメ、という制限がないんです。

 

“食べる人に合った食材を選んで調理する”のが薬膳で、

ある人にとっては良くない食材でもこの人にとってはOK等、

パズルのように組合わせるのが面白くって。

 

薬膳って苦くて薬の味がする、ようなイメージありませんか?

でも、本当の薬膳料理は家庭料理。

スーパーに売っている食材で薬膳料理はできるので、難しくないんです。

 

そして今日食べることに失敗しても明日やり直せばいい。

すごく暴飲暴食したい時もありますよね?笑

 

(合田)

あります。笑

明日やり直せばいい、と言ってもらえると

食というものに対して力を抜いて向き合えますね。

 

何歳になっても学ぶことは大切とは言いますが、

いざ勉強するとなると、こう身構えたりされなかったのでしょうか?

 

 

(吉田さん)

1年かけてゆっくり薬膳を学びました。

当時通っていた薬膳の料理教室で、今もお世話になっている薬膳の恩師に出会い、

その方のすすめで国際中医薬膳管理師の資格を取ろうと思ったんです。

 

30代でまた生きるスイッチが入ったんですよね。

さ、やるか!というか。

 

飲食店を開くなんて、薬膳を学ぶまで全く考えたことがなかったけど、

学ぶうちに“こんなに面白いもの、伝えたい”という気持ちがわいてきました。

 

(合田)

なるほど。

それでお店を持とうと思われたんですね。

なぜこちらの場所を選ばれたんですか?

 

(吉田さん)

心地よく感じる場所を探していて、この界隈に惹かれてきました。

今年の3月末で丸3年を迎えますね。

薬膳を伝えるにはお店というスタイルがいいかなって。

 

OPEN当初は普通のカフェのようなイメージで、

入ってきていただいたら実は薬膳のお店だったということを考えていたのですが、

お客さまの方がもっと薬膳を、とぐいぐい求めてくれるようになってきました。

 

 

身近な食材が持つ力に気付くはず

 

(吉田さん)

メニューは“気血水”という薬膳理論をベースに組んでいます。

薬膳では気と血と水のバランスが整っているほど健康であるという考え方があるんです。

なので“今日足りないものを食べてください”というのが基本。

 

すぐ決まる方もいらっしゃいますが、

決まらない方には体質チェックリストを使っていただいています。

今日も大人気でしたよ。

 

 

(吉田さん)

裏面にはチェック数に応じて、

こちらを食べて足りないものを補ってくださいね、というメニューが載っています。

プチ薬膳セミナーのような形ですね。

なのでメニューを決めるまでに時間がかかる方もいらっしゃいますよ。

 

あくまで今日の体質チェックリストなのでリストはお持ち帰りいただいて、

季節の変わり目や体調が優れないなと思うときに

やってみてくださいとお伝えしています。

 

うちのメニューを1回食べただけでは健康にはならないんですよね。

気血水のバランスや足りないものを食べるという感覚、

何か一つでも食のことを覚えて帰っていただきたいんです。

 

 

 

(吉田さん)

あと薬膳色を出すという点では、

大和当帰などそれぞれに生薬といわれるものを少し使用しています。

でもどれも身近なもの。

 

特別なものばかりは続かない。

日常的に続けてこそ食養生です。

 

ドリンクやスイーツも気血水で分けています。

今日は血を補いに来たというお客さまは

血に関する大和当帰のランチ、スイーツ、ドリンクをお召し上がりになって、

ご自宅用の大和当帰も買って帰られました。

 

最近は乾燥大和当帰ありますか?と買いにこられる方がいたり、

大和当帰ファンの方が増えてきたのでうれしいです。

P.O.Fの壁にも大和当帰を描いているんです。

 

 

 

(合田)

大和当帰といえばイベントもされているんですよね?

 

(吉田さん)

今年の5月には奈良県立図書情報館さんで

第3回目の薬草を食べる日というイベントをします。

 

またカフェだけでなはくお店で季節ごとに薬膳セミナーも開催しているのですが、

兵庫や京都からのセミナー依頼も来るようになりました。

 

薬膳を伝えたいために開いたお店なので、

このようにご縁をいただき、広がっていくのはありがたいですね。

 

健康な人が増えて欲しいという気持ちだけで動いています。

 

 

(合田)

カフェとセミナー、イベント。

そしてお店には物販のスペースも作られたんですよね?

わたしが以前お邪魔した時はソファ席だったかと。

 

(吉田さん)

OPEN当初物販スペースはなかったんです。

でも薬膳に関するものをご紹介できるようにと置き始めました。

 

最近では、加工品って日常生活に寄り添えるのかなと考えるようになり、

農家さんの生鮮も置かせていただくようになりましたね。

 

2018年は毎月マルシェを行う予定で、

1月は高知県から生姜が届き、

2月はれんこん、3月はフルーツトマトが届きます。

 

物販のみでカフェ利用されない方もいらっしゃいますよ。

一つの空間でもいろんな用途でこの場を使い分けていただいていますね。

 

レンタルスタジオとしても、

明日のあなたが元気になるものをコンセプトに

こちらでセミナーやイベントをしていただいています。

 

 

 

(合田)

明日のあなたが元気になるもの、

それを見つけるきっかけを色々な手法で作られているんですね。

 

吉田さん自身のパワーの源は何でしょうか?

 

(吉田さん)

主人のことがあったからそうなったわけではなく、昔から元気なんですよね。

自分がいる場所で一生懸命やる。

何事も楽しみたいと思っています。

 

実は昨年漢方の方と知り合うご縁をいただいたので、

今年は漢方イベントも何度か開催したいと思っています。

 

薬膳と漢方二本立てで、みなさんの健康を守りたい。

漢方も特別なものじゃないんです。

POWER OF FOODは食べる力を伝えているのですが、

その感覚で漢方を使う力も養ってほしいと思っています。

 

私自身もカウンセリングを受けてきたのですが

自分の体質の根っこと表面の症状がわかるので面白いですよ。

 

漢方の名前を覚える必要はなくて、その時に見れば、聞けば、いいんです。

それぐらい肩の力を抜いて生活に取り入れてみてほしいと思います。

 

 

すこやかな暮らしを

 

(吉田さん)

あと、自分をケアするというのも目標の一つですね。

今年は12時までに絶対寝る!と決めています。

 

今は元気なんですが、実は年末体調を崩していて。

漢方も飲んでいたのですが、

気力体力が満ちてくると家族にも優しくなります。笑

家族を元気にしようと思ったら、まずは自分から。

実体験として感じますね。

 

こうやって特別ではないわたしというものを通してみていただくと

薬膳や漢方がわかりやすく伝わるのではと思っています。

 

今は調べれば何でもわかる時代。

薬膳は誰が伝えてもいいと思うのですが、

実体験を伝えることが大切だと思うんです。

 

 

 

 

“自分に課題を課すも大切だけど、

ゆっくりすることも大切。これも実体験です。”

と笑いながらお話してくれた吉田さん。

 

自分自身のことなのに、意外と自分の不調や

疲れていることに気付けない方も多い時代。

 

体調に合わせて体が求めているモノを食べる。

実はシンプルなコト。

 

吉田さんとお話をしていて、

自分が自然と求めていることに気付ける場所が

このPOWER OF FOODなのだと感じました。

 

 

 

text by  saki goda.