PEOPLE

関わってくれる人たちの ライフスタイルが豊かになることを

窓から見えるのは緑豊かな山と川、そして走る電車。

奈良らしいのどかな風景が心地よい三郷町にある「CAFE FUNCHANA」。

 

奈良県の陶芸作家さんを中心に信楽など様々な地へ足を運んで直接お願いし、

CAFE FUNCHANAのために焼き上げてもらったという食器や

居心地の良さを追求したオーダーメイドのテーブルが並ぶ店内。

 

まさにたくさんのこだわりとストーリーが詰まったお店が、ここにあります。

 

今回はCAFE FUNCHANAのオーナー兼DESIGN SETTA SANGOのプレスとして活躍し、

二児の母でもある星田純子さんに

その行動力の源や手がけていることへの想いをお聞きしてきました。

 

 

1983年京都府生まれ。奈良県北葛城郡河合町在住。

大学卒業後、大阪で印刷会社の営業マンとして3年間勤務。

2009年4月にご主人と「CAFE FUNCHANA」を三郷町にオープンし、

2013年に三郷町の地場産業「雪駄」を紹介するマーケットを開き、

株式会社DESIGN SETTA SANGOを設立。

プレス担当として全国に魅力を発信中。

 

 

 

 

 

 

夫婦の夢を叶えたカフェ

 

(合田)

今や雑誌や新聞をはじめメディアに引っ張りだこな星田さんなので、

お聞きしたいことは山ほどあるのですが(笑)

まずカフェを開こうと思ったきっかけを教えてください!

大学卒業後すぐにお店を開かれたのではないんですよね?

 

(星田さん)

大学卒業後は大阪市内の印刷関係の会社に就職して、

高層ビルを隅から隅までまわるという新規開拓の営業をしていました。

 

その会社で今の主人と出会い、お付き合いするようになって、

カフェ巡りをするうちに「いつかお店を開きたいね」って話すように。

どちらかがお店やるから着いてきて!と言い始めたのではなくって、

気が付いたら二人で「一緒にお店をしよう」と話していました。

 

そして、10年会社勤めしていた主人が一念発起で会社員を辞めて、

今まで経験したことのなかったホテルやカフェ等の飲食の道へ。

 

3年間ずーっと修行をしてくれている間、

わたしはサラリーマンとしてお金を貯めながら、

空いている時間を使ってケーキ作りを習いに行っていました。

 

結婚したのもそのタイミング。

わたしがサラリーマン、主人がいわゆるフリーター(笑)

親にも、お店をはじめてから結婚したら?って言われたけど、

結婚するからいつしても一緒だよ、と伝えて奈良に引っ越してきました。

 

(合田)

またなぜ奈良に引っ越して、お店を開こうと思ったんですか?

 

(星田さん)

主人が河合町の出身なんです。

将来は子どもも欲しいと思っていたので、

夫婦二人のお店を開くなら実家の近くじゃないと難しいなあと。

子どもが熱を出したからと言って自分のお店を休めないでしょ?

 

あと、私は京都市内の都会で育ったので、

子育てをするなら自然豊かな場所で子育てがしたいと思っていて。

それでちょうどこの店の前をバイクで走っているときに

空き物件になっているのを見て、ここにしようと。

 

駅から近くて、駐車場があり、何より目の前に緑が広がっている。

だから縁もゆかりもなかったけど、三郷町にお店を持つことに決めました。

 

主人の実家がある河合町までも車で10~15分だし、

親にお世話になりながら2009年4月にCAFE FUNCHANAをオープンしました。

 

(合田)

お店をオープンされて丸9年。

スタートラインに立つまではある程度、でもできるけど、

長く続けるっていうのは誰もができることではないですよね。

 

 

(星田さん)

それはもうスタッフの力や家族の力を借りながらここまで来ました。

 

嬉しびっくりだったんだけど、

実はお店をオープンする3カ月前に妊娠が発覚して、

わたしが抜けるという前提でお店の運営を考える状況になったんです。

今となっては妊娠がその時期で良かったなって。

 

子どもを育てながらお店をするという環境を、神様が作ってくれたんだと思います。

出産前日までお店に立ってました(笑)

 

(合田)

前日までお店に?!(笑)

星田さんのバイタリティーには驚きです。

 

(星田さん)

カフェをオープンする前からイベントができるお店にしたかったから、

出産前日もJAZZ LIVEをしていたんですけどね。

ちょうど満月の夜だったしそろそろかもなあと思っていたら、次の日に陣痛が来て(笑)

 

さすがにお店に立てないからスタッフの子に早く来て欲しいと連絡したり、

ケーキ何個焼いてたかなって確認したり。

 

(合田)

初産でそこまで考える余裕ないですよね…!

 

(星田さん)

元気だったんです(笑)

二人目は2012年に生まれたんだけど、

一人目の出産でどこまで働けるか、どれぐらいで復帰できるか要領が分かっていたので

産後も早くお店に立つことができました。

 

 

 

 

だいすきな娘たちとの時間

 

(合田)

本当にお話を聞けば聞くほどパワフルだなあと感じます。

ゆっくりされる時間はあるんですか?

 

(星田さん)

やっぱり時間はないんだけど、

わたしパーソナルスペースを持たなくても大丈夫なんです。

 

仕事が終わったらすぐ娘に会いたいし、

リフレッシュするために子どもと遊びに行ったり、友達と一緒にご飯を食べに行ったりしたい。

一人の時間や一人の空間は必要なくって、

人と関わることが苦じゃないというか、頑張ることも苦じゃないんです。

 

よく頑張り屋さんですよねって言ってもらうんですけど、

絵が得意、歌うのが得意、走るのが得意、っていうのと同じように

わたしは頑張るのが人よりも得意なんですよね。

頑張ることが特技というか。

 

もちろん疲れる時もあるし、もうしんどいなあって思う日もあるけど、

そんな日は娘たちが家事を手伝ってくれるんです。

7歳と4歳なんですけど、ご飯も炊けるし、掃除もできる。

頼られるのが好きみたいです(笑)

 

子どもだから洗い物に泡が付いたままの時もあるし、

畳んでくれた洗濯物の靴下が左右違う時もある。

100%はできない、それでもいいんです。

 

(合田)

星田さんの原動力はお子さんなんですね。

 

(星田さん)

本当にそうです。

働けば働くほど娘たちとの時間は減ってしまうから逆行してるんですけど、

娘たちがいなければ仕事もここまで頑張れていないと思います。

 

あとはやっぱり協力してくれる主人の両親の力も大きいです。

土日は面倒を見てくれているし、

毎日一緒に食べる夜ご飯もおばあちゃんが作ってくれるんです。

だから娘の一番好きな料理は蕗の炊いたやつだし、

お魚の煮つけは目玉まで食べる子に(笑)

 

わたしだったら働いている分どうしても時短料理になってしまうので、

手間ひまかけたものを作れない。

甘えて、助けてもらっている環境が、子どものためにもなっているんだと思います。

 

 

(合田)

お子さんとご家族の協力があって、お店があるんですね。

お店の他に力を入れていらっしゃる『DESIGN SETTA SANGO』についても教えていただけますか?

 

(星田さん)

元々このお店で陶芸展や写真展等いろんなイベントをしていたので、

その一つとして2013年の夏に雪駄展というのをしたのがきっかけです。

三郷の地場産業だし、せっかく三郷町でお店をしているんだから

もっと地域のことを知ってほしいということで企画しました。

 

三郷町は最盛期に全国のシェア8割ぐらいの草履を作っていた町なんですけど、

全然知られていなくてもったいないなあって思うんです。

今でも三郷町や王寺町の保育園は上履きの代わりに草履を履いてるんですよ。

 

 

 

 

「衣」の雪駄と「食・住」のカフェがひとつに

 

(星田さん)

和装履きの鼻緒があるものって、伸び悩む傾向にある企業もあるんですよね。

製造する職人さんも少なくなっているし、

履く人も減っているし、安い中国製等も出てきている。

でも三郷町の職人さんが作った雪駄って、一日中履いていても全然疲れないんです!

足が痛くならない鼻緒って、やっぱり職人技じゃないと作れないんですよ。

 

(合田)

浴衣を着たときに何が辛いって、鼻緒の部分が痛くなることですもん。

お洒落は我慢と言われつつ、帰ったらいち早く脱ぎたい~と思います。

 

(星田さん)

それとはもう全く違う履物だと思ってください!

それを広めていくには、安くてたくさん作るのではなくて、

100足作る時間をかけて10足でいいから技術の粋を集めた雪駄を作る。

だからデザインと履き心地にこだわって、

本当に職人にしか作れないものを提供していきたいんです。

 

よくなぜカフェで雪駄なんですか?って聞かれるんだけど、

わたしたちとしては雪駄もCAFE FUNCHANAの理念から少しも離れていなくって。

カフェは、来てくれた人がここにいる間楽しんでもらうことが目的で、

おいしいコーヒーや料理を出すことが目的じゃない。

 

CAFE FUNCHANAに来ていただいて、帰るときに、

「ああ、いい時間を過ごしたな」って思ってもらうことが目標。

そのためのおいしいコーヒー、ソファ、音楽なんです。

 

DESIGN SETTA SANGOも同じで、

履いてくれた人の人生がちょっと豊かになったり、ちょっと楽しくなったり、

その人のライフスタイル自体が豊かになることを提供していきたいと思っています。

この気持ちはカフェを営業することと一緒なんです。

 

製造業・アパレルと飲食業・サービスって

全く違うことをしているように思われるかもしれないけど、

コーヒーを提供することも雪駄を提供することも、

人様に喜んでもらえることを提供する、というところでは同じ思いなんです。

 

イベントがきっかけで侘寂び屋の職人・芝﨑夫妻と4人ではじめたプロジェクトですが、

2年前に株式会社化して、今年はイタリアのJAPAN DESIGN WEEK in Milanoにも出展しました。

片言の英語で話しながらの大舞台でしたよ(笑)

 

見にきてくれたお客さんに聞くと、

下駄はよく知られているんですけど、草履・雪駄はまだあまり知られていないんです。

だからわたしたちがDESIGN SETTA SANGOとして、

新しい履物「SETTA」を広げていきたいと思っています。

 

 

 

 

類のない価値、それを知ってほしい

 

(合田)

今後の展開としてはどんなことを考えられているんですか?

 

(星田さん)

基本的に素足で履いていただきたいので、毎年夏に向けて新作を考えていきます。

 

一年目は鼻緒にヨーロッパのビンテージ生地を使用したビンテージシリーズを発売。

二年目からテキスタイルデザイナーさんとコラボしたテキスタイルシリーズを発売。

今年は地域とのコラボをスタートして、近江上布を使った雪駄を発売しています。

まだお話できないのですが、来年もある地域とのコラボ作品を構想中です。

 

このDESIGN SETTA SANGOにはたくさんのストーリーが詰まっている。

職人さんにも自分がいかに素晴らしいものをつくっているかということを

知ってもらえるようなお仕事をしていきたいと思います。

 

 

 

 

土日は120人を超えるお客さまが来て下さるんですよ。

わたしたちはいかにゆっくり食後のコーヒーを飲んで、

ここでの時間を楽しんでもらえるかを大切にしてます。

と、お話してくれた星田さん。

 

“何を大切にしたいか”

 

オープン当初から変わらない想い、

そして家族や支えてくれる方々への想いが溢れるからこそ

CAFE FUNCHANAや星田さんのまわりに人は集まるのだと実感しました。

 

 

 

text by saki goda.